ボキャブラリーが、足りない

すぐに考察したがる、アラサージャニオタです。

そう、これはジュニアの襟足が長かった頃の話。

最近、ジャニーズのコンサートに行くたびいつも新鮮に驚くことがある。

それは、ジュニアの襟足部分の髪の短さと、オタクのファッションの大人しさである。

多くのジュニアの襟足は刈り上げられ、みなコボちゃんのような髪型をしていて可愛らしい。そして、オタクもMaison de FLEURのバッグを持ち、まるで良家の子女のようなファッションをしていて、とても可愛い。

 

今は可愛らしいお坊ちゃんとお嬢ちゃんが集まるコンサート会場だが、以前は少し雰囲気が違っていた。

そう。あれは、確か2005年頃だったと記憶している。

まだデビュー前だったのにも関わらず、KAT-TUNの人気が凄まじかった頃。

ごくせん2に赤西と亀梨が出演したことにより、KAT-TUNの人気はさらに拍車がかかった。以前からKAT-TUNのファンだった人たちはごくせん2を見てKAT-TUNにハマった人のことを「ごく出」と呼び、「ごく出は永遠の新規」と罵り罵られていた時代。

KAT-TUNをはじめとし、ジュニアたちの襟足は長かった。そして、襟足の長いジュニアのオタクの頭頂部は高く盛られていた(盛り髪)。これは私の個人的な見解であるが、ジュニアの襟足の長さと、オタクの盛り髪の高さは比例していたように思う。

髪を高く盛ったオタクは、季節を問わず露出の多いドレスを着ていた。特に、ジーザス・ディアマンテの服を好んでいたイメージがある。ジーザス・ディアマンテは、コート約10万円、ワンピースが1着約5万円、パンプスも1足約4万円くらいと決して安くはないにも関わらず、全身コーディネートをしている人を度々見かけたのだ。他にも、LIZLISAの着ている人をよく見かけた。ジーザス・ディアマンテにせよ、LIZLISAにせよ、肌の露出が多く花柄にリボンがあしらわれたデザインの服は、華やかであった。財布はCHANELなどのハイブランドを持っている人もいたが、ASH&DIAMONDSのきらっきらの財布を愛用している人が多かった(気がする)。

そんなオタクが集うコンサート会場はキャバクラさながらの雰囲気であり、いつどこからシャンパンコールが聞こえてきても不思議ではない。この頃のコンサート会場は、なんだかとてつもなく景気の良さそうな場所だったのである。(そういえば、コンサート前のコールが始まったのもこのくらいの時期だったような気がする。)

 

2005年、高校生だった私にとって、この会場こそが全てであった。毎日田んぼのあぜ道をママチャリで20分かけて通学している事実も、またそれによって出来たスカートの日焼けも、母にねだって買ってもらった花柄のワンピースで隠した。その代わり、普段学校にいるときはおだんごヘアにすることででごまかしていた胸まである長いエクステを解き放った。私がヘアアイロンで耳にやけどを負いながら、一生懸命巻いた髪を見た兄に「お前の髪型、DNA(の二重らせん構造)みたいやな」と言われても気にしない。盛り髪は後ろの人の視界の邪魔になると激しく叩かれていたのが怖くて、やってるのかやってないのかわからない程度の盛り髪しかしなかった。この辺は田舎の女子高生のマインドを隠しきれなかったのだ。

 先日、実家の部屋を片付けていたら当時大切に使っていたASH&DAIMONDSの財布や、ジーザス・ディアマンテのアクセサリーがたくさん出てきた。なんだか、懐かしい気分になったので当時撮った写真を久しぶりに見返し始めて「うわあ、景気が良さそう…」と思わずつぶやいてしまった。おそらく、バブル絶頂期に女子大生だった人たちが当時の写真を見返したときにも、このようにつぶやくであろう。当時の写真からはそのような、とにかく景気が良さそうな雰囲気が漂ってくるのだ。

私は上記で「ジュニアの襟足の長さと、オタクの盛り髪の高さは比例していた」と述べた。景気がよいときに女性の盛り髪が流行る傾向にあると仮定するならば、ジュニアの襟足の長さは景気のよさにも関係するとも考えられる。 黒色の車が増えると景気が良くなる、だとか、くまのキャラクターがブームになると景気が良くなるだとか、景気に関する様々な噂を聞いたことがあるが、ジュニアの襟足の髪が長くなると景気が良くなるという噂ができるかもしれない。

20th Centuryの色気について

公共交通機関が衰退しきった田舎で暮らしているので、移動手段はもっぱら車だ。

車の運転中、私はiPodから流れる曲を聴いて、もし自分に金と権力があったら、少クラでジュニアの誰にこの曲を歌わせるかを考えている。
先日もiPodから流れる曲を聴きながら、この曲には誰が適役であるか考えていたのだが、ある曲が流れ始めたとき、わたしは頭を抱えた。

その曲とは、20th Century(以下、トニセン)のWISHES~I'll be there~*1である。

この曲はトニセンの色気がすごすぎる。
このCDが発売された当時のメンバーの平均年齢は26才。

坂本昌行(28)長野博(27)井ノ原快彦(23)であった。

発売当時小学生だったわたしも、今や立派なアラサー独身女に成長した。

合コンにやってきた28歳を男の子と呼ぶし、23歳なんて少年だと捉えている。
そんな私だからこそ、この曲から漂う、20代男性も思えぬ色気と20代男性が知るはずもないと思い込んでいる哀愁に、思わず頭を抱えたのだろう。
結局、1曲丸々聴き終わっても、この曲を歌わせたいジュニアが思い付かなかった。
「歌わせたい」というより「歌える」という方が正しいかもしれない。
その「歌える」というのも、ただ単に「歌唱する」という意味ではなく、違和感なく歌いこなせるという意味が近い。
色気と哀愁の漂うこの曲を、ジュニアに違和感なく歌いこなせというのは無理がある。
ジュニアにWISHES~I'll be there~を歌わせるというのは、わたしが小学生の頃、少クラの前身であるMJという番組で、昭和歌謡の代名詞とも言える青い山脈を当時のジュニアが歌い踊っているのを見たときの、あの違和感に似ている。


ジュニアには無理。

こうなったら、デビュー組の中からこの曲を歌わせたいメンバーを選ぶしかない。
わたしの脳内にあるステージは、NHKホールから年末の東京ドームへと変わった。

会場の収容人数は16倍になる。これは、わたしにとって大出世である。

平均年齢と年齢構成から考えてみたところ、Hey!Say!JUMP(平均年齢26.3才)が適役であると考える。







……



………
年齢的には当時のトニセンと合致するが、このHey!Say!JUMPに色気と哀愁は似合わない。
彼らが、晴れわたる空に散らかすのはガラクタのような未来ではなくて、希望に満ち溢れた未来だ。そうであって欲しいとも思う。
年齢的には彼らと同じであるはずのWISHES~I'll be there~を歌っていた当時のトニセンが、晴れわたる空に散らかすのは、間違いなくガラクタのような未来だ。

あの色気には、希望に満ち溢れた未来よりも、ガラクタのような未来しかない。
この差は一体なんなのだろうか。



そういえば、WISHES~I'll be there~が発売された当時、わたしが通っていた小学校では、女子が集まって「ジャニーズの誰が好きー?」という話題になったとき、暗黙の了解で選択肢は「KinKi(光一くん、剛くん)、カミセン(剛くん、健ちゃん、岡田くん)」の5択だった。
同じV6にもかかわらず、我々女児の間に、トニセンという選択肢は与えられていなかったのだ。
そのくらいトニセンは、別格で圧倒的な大人だった。
しかし、今、小学生の女の子がコンサート会場で「伊野尾くんが好きなの~」と真っ赤なワンピースを着ていても「そうなんだぁ、かわいいもんねぇ」と受け入れることができる。
これはわたしの年齢のせいなのだろうか。

いや、きっと世間もそれを許している。

つまり、WISHES~I'll be there~を歌っていた頃のトニセンにあって、現在のHey!Say!JUMPにないもの、それは「女児が好きになることを世間が許さない雰囲気」である。
この表現は誤解を招きかねないので、やはり「色気」と表現しようと思う。


さて、このトニセンの「色気」は一体何であるのだろうか。
WISHES~I'll be there~を歌っていた頃のトニセンと、現在のHey!Say!JUMPを散々比較してみたが、もうこればっかりは生まれ育った時代背景によるものだという雑な結論に至った。
トニセンから漂う、あの色気はきっと1970年代生まれにしか出せないのだ。
1960年代生まれ(少年隊)にも、1980年代生まれ(嵐~NEWS)にも出すことができない、1970年代に生まれし者にのみ与えられた、色気。
トニセンが生まれた1970年代は、オイルショックや日中平和友好条約調印など起きた時代である。歴史の授業で学ぶ出来事をリアルタイムで知る世代ともいえる。
あの色気は、高度経済成長を遂げた直後の日本に生まれ、右肩上がりの景気と共に育った世代にしか出せない色気なのだ。

好景気は色気をも創り出すのだろう。
一方で、物心がついてからはずっと不景気な日本しか知らない、1990年代生まれのHey!Say!JUMP。

不景気は色気を創り出せない。
学生時代、週休2日制を体験したことがないであろうトニセンと、義務教育のほとんどを完全週休2日制で過ごしたであろう、Hey!Say!JUMP。
制服と言えば、短ランにボンタン。ボンタン狩りというヤンキー漫画にしか出てこないであろう単語を当たり前のように発する井ノ原と、違反制服?なんですかそれ?っていうくらい品行方正に制服を着こなしていた(のを見かけたことがある)Hey!Say!JUMP。

そういえば、トニセンは以前少プレに出演した際、子供の頃に好きだった遊びとして、給食に出てくる牛乳瓶の蓋を使った遊びを紹介していたのだが、Hey!Say!JUMPのメンバーは紙で蓋をされていた牛乳瓶なんて見たこともないだろう。
彼らが生まれ育った時代や環境はこんなにも違うのだ。同じ年齢とはいえ、バックグラウンドが違いすぎるのに、同じ色気を出せなんていう方が不可能である。


色気を構成するもの、それは生まれ育った時代背景だ。
それぞれの年代にはそれぞれの色気がある。

なにが正解でなにが不正解かなどは存在しない。全部色気だ。
トニセンの色気は唯一無二の色気である。

*1:1999年11月25日に発売された20th Centuryのファーストシングル